犬の散歩時の引っ張り癖で悩んでいる飼い主さんは、非常に多いかと思います。
特に大型犬は力も強くコントロールが大変で、力のない方だと怪我をする原因にもなり得ます。
私も、これまで愛犬バーニーズマウンテンドッグやゴールデンレトリバーの引っ張り癖トレーニングを行った経験があり、現在は最近家族として迎え入れた子犬(ドーベルマン)と一緒にトレーニングを行っております。
今回は、犬の散歩時の引っ張り癖を直すための様々な方法についてご紹介致します。
引っ張り癖を直す方法は犬によって異なる
一言で引っ張る犬といっても、年齢や引っ張る理由などは様々です。
好奇心が旺盛で引っ張る犬もいますし、車や自転車を追いかけようとする犬もいる。
私の愛犬ドーベルマンのように社会化期(生後1ヶ月~4ヶ月程度)に十分な社会化ができていなかったような犬もいます。
このように引っ張る原因や状況は様々で、その犬に合った対処方法も異なります。
そこで今回は、私が実践して成功してきた方法や基本的な引っ張り癖を直す方法など、いくつかの方法をご紹介させていただきます。
愛犬に合っていると思う方法でお試しください。
引っ張り癖を直す6つの方法
社会化不足が原因の場合は社会化をする
この方法は、愛犬ドーベルマンに行っている方法で、まだ完全ではないものの1カ月程度でだいぶ引っ張り癖が改善されています。
彼の場合は、前の飼い主さんに捨てられてしまった経緯から、様子を見ていると社会化が足りなかった様子。
来たばかりの頃は鳥の声にも敏感に反応するし、人が多い場所では興奮状態で少しパニックに陥っているような仕草も見せました。
違う環境に行くと、緊張や興奮で大量のフケがでましたが、色々な場所に連れていき適応させることで引っ張りがだいぶ改善されています。
また、ドーベルマンという犬種上、社会化不足だったことから急な社会化経験で精神的に参ってしまったか、下痢や少量の血便をするときも。
そんなときは、無理をさせず2日程度は近所の散歩で様子を見て、再び社会化の機会を設けています。
基本的には人や犬が多い場所に連れていきますが、ストレスを最小限におさえるため、様子を見ながら短時間での外出に調整。
短時間であっても、定期的に継続することが何より大切です。
この社会化をさせながら、基本的な引っ張り癖を直す方法(6)を行うことで大抵の場合は改善します。
上下関係が逆になっている場合は上下関係を明確にする
この方法は、愛犬バーニーズマウンテンドッグが子犬だった頃に実施した方法で、私が初めての愛犬で甘やかしすぎてしまったせいで、引っ張り癖が悪化していた時の対処方法です。
甘やかすことが悪いことではなく、私自身も自分の娘として接していたため、相当甘やかしてしまいました。
しかし、良いこととダメなことの境界線を飼い主自身が明確にすることが、上下関係の構築には大切です。
ドッグトレーナーによっては、同じベッドで寝るなと言う人もいますが、私の経験上しっかりとした上下関係を築けていれば同じベッドで寝ようが寝まいが、そんなことは関係ありません。
現に私も愛犬たちと同じベッドで寝ていますが、それによって上下関係が乱れることはありません。
犬の問題行動とは、そもそも人と生活する上で問題となる行動(人間基準で問題となること)であるため、上下関係構築のためには、まず家庭内でルールを明確にして家族全員が同じルールで愛犬に接することが大切です。
我が家の愛犬のルールの一例
・外にでるときは、自宅の扉の前で指示するまで待たなければいけない →事故防止のため
・遊びだとしても、人に歯を当ててはいけない →噛みつき癖防止のため
・人に飛びついてはいけない →転倒・事故防止のため
このように、家庭のルールを守らせることで上下関係を構築して、引っ張り癖を直すのに役立てます。
ただ厳しくするのではなく、愛情をかけて甘やかしながらも飼い主自身がダメなことを明確にして、肝心なときにだけ叱るメリハリのあるしつけ方法が、犬との効率の良い上下関係構築に役立ちます。
飼い主と犬の適切な関係性構築を行った上で、基本的な引っ張り癖を直す方法(6)を行うことで引っ張り癖改善トレーニングを行います。
ストレスが原因の場合は十分な運動をさせる
私がドッグトレーナーとして働いていたとき、引っ張り癖のある犬の多くが、日頃の運動不足によるストレスが原因でした。
私の場合、愛犬ドーベルマンに関しては運動量が非常に多いため、庭で十分走らせた後に散歩、またはジョギングに出掛けています。
適度に有り余ったパワーを発散させることも、引っ張り癖改善には大切です。
しかし、これは日頃の運動不足によって引っ張り癖が生じている犬、または極端に運動量を多く必要とする犬(または犬種)に限った方法です。
このように犬の身体にかかっているストレス対策を行った上で、基本的な引っ張り癖を直す方法(6)を行うことで、引っ張り癖が改善されるか様子を見ます。
飼い主に原因がある場合はリラックスが重要
犬は飼い主の心理状況を読み取り、飼い主がリラックスしていないと犬もリラックスして散歩ができません。
例えば、犬が引っ張ろうとしたとき、飼い主は焦りや苛立ちを感じることがありますが、実は犬が引っ張る原因が飼い主の心理的なことが原因になっていることがあります。
ゴールデンレトリバーの引っ張り癖で悩んだ際、過去に一度だけポーランドのトレーナーさんに来てもらい、一日トレーニングを受けた経験がありますが、愛犬のトレーニングというより飼い主である私のトレーニングでした。
「肩の力を抜いてリラックスして散歩を楽しんで」と、散歩中に何度も言われたものです。
それに加えて、愛犬が引っ張った際、飼い主がリードを引くタイミングが重要だということで、歩くの速いよと犬に伝えるタイミングを逃さずに瞬時にリードを引く練習を実施。
愛犬に関しては、教わった方法を毎日繰り返し、1ヵ月も経たないうちに引っ張り癖が改善。
自らアイコンタクトをして私のペースに合わせて歩くようになりました。
犬の引っ張り癖は、飼い主の心理的状況が原因になっていることもあるんですね。
その他、飼い主のペースに合わせて歩いたり、歩きながらアイコンタクトができた場合、褒めてあげることも大切です。
好奇心が旺盛な犬の場合は引っ張る都度止まる
好奇心が旺盛な犬の場合は、何より散歩の途中途中で犬を落ち着かせることが重要です。
犬が引っ張ったタイミングで、リードを引っ張るとこれ以上進めないということを犬に認識させます。
具体的には、犬がリードを引っ張ったタイミングでお座りや待て、伏せなどのコマンドを使って、犬が落ち着くまで歩かせません。
停止することが多いため、30分程度で終わる散歩でも1時間以上かかることがあるので、時間に余裕をもってトレーニングを行う必要があります。
主導権が愛犬にある場合は方向転換をする
散歩をするときの主導権が自分にあると認識している犬の場合、日頃から主導権は飼い主にあるということを認識させる必要があります。
これは単に厳しくするというわけではなく、食事の前に待てをさせたり、外にでるときに飼い主の指示で出るようにさせるなど、日常生活の中で人間の子供に教えるような感覚で指示することで、飼い主がリーダー的な存在になることを意味します。
そのような主従関係の構築を行うと同時に、散歩で引っ張った際、わざと犬が進もうとしている方向とは逆の方向に向きを変えて歩き、散歩の主導権は飼い主にあるということを教えます。
引っ張り癖改善トレーニングには根気が必要!
犬の引っ張り癖を直すためには、何より日頃から犬との適切な関係を構築しておく必要があります。
怖がりの犬であれば飼い主と一緒にいれば安心と犬が感じるような関係性を構築したり、上下関係が逆になっている犬であれば日頃から人間の子供に注意するような方法で、指示を出すことで主導権を明確にします。
犬の引っ張り癖は、成犬の場合は改善するまでに特に時間がかかりますが、毎日根気よく繰り返すことが一番の近道です。
愛犬と適切な関係が築けているか、飼い主の心理的要因で犬が引っ張っていないかなど、今一度見直してみると良いでしょう。