近年、犬や猫の食物アレルギーが増え、ドッグフードを中心に愛犬の食事に悩む飼い主さんも増えました。
今回は、アレルギー体質の犬のドッグフード選びに役立つ内容を紹介致します。
低アレルゲンドッグフードの選び方
まずは、低アレルゲンドッグフードの選び方の基本について説明します。
食物アレルギーの可能性がある場合は必ず獣医師に相談し、適切な検査を受けさせましょう。
低アレルゲンドッグフードの選び方 ポイント1
・アレルギー検査で反応があった原料が含まれていないドッグフードを選ぶ
抗体(IgE)測定検査とリンパ球測定検査でアレルゲンが特定された場合、対象となるアレルゲンが含まれていないドッグフードを選びましょう。
低アレルゲンドッグフードの選び方 ポイント2
・合成添加物が含まれていないドッグフードを選ぶ
現段階では犬における食品添加物アレルギーに関しては知見が乏しいとされていますが、犬の食物アレルギーがドッグフードに含まれる添加物に関与しているという多くの総説があります。
アレルギーに関わらず、合成添加物は長期継続摂取させることで犬の健康に被害を及ぼす可能性があるため、可能な限り無添加、または天然添加物のみ使用したドッグフードを選ぶと良いでしょう。
低アレルゲンドッグフードの選び方 ポイント3
・免疫力強化に役立つドッグフードを選ぶ
食物アレルギーは免疫に大きく関与しているため、犬の免疫力を強化するための食事管理にも配慮した上でドッグフードを選ぶと良いでしょう。
免疫力を高めるためには腸内環境の健康維持に役立つドッグフードを選び、必要に応じてサプリメントを活用しましょう。
低アレルゲンドッグフードの選び方 ポイント4
・犬のアレルゲンになりやすい食べ物を避けてドッグフードを選ぶ
犬においては、牛肉、大豆、鶏肉、牛乳などにアレルギー反応を示すことが多いと考えられていますが、アレルギー検査でアレルゲンが特定されなかった場合や症状が緩和されない場合、犬全般においてアレルゲンになりやすいと考えられている食べ物を避けてドッグフードを選ぶと良いでしょう。
※アレルゲンになりやすい食べ物
牛肉、牛乳、鶏肉、豚肉、卵、小麦、米、オートミール、トウモロコシ、大豆、いんげん豆など
低アレルゲンドッグフードの選び方 ポイント5
・状況に応じて、新奇たんぱく質か加水分解たんぱく質を選択する
・愛犬のアレルゲンが特定されている場合 ⇒ 新奇たんぱく質
過去に長期間犬の体に摂取されてきたたんぱく質がアレルゲンとして認識されやすいという考え方を前提に、過去に摂取したことのない(または摂取した回数が少ない)たんぱく質源(=新奇たんぱく質)を使用することで、アレルギー症状が引き起こされにくくなると考えられます。
そのため、アレルゲンが特定されている場合は、対象となるアレルゲン原料を使用していないドッグフードを選ぶことはもちろん、ラム肉やダック肉、サーモンなど今まで犬が食べる機会の少なかったたんぱく質を原料としたドッグフードを選んだ上でアレルギー症状が改善されるか確認すると良いでしょう。
・愛犬のアレルゲンが特定されていない場合 ⇒ 加水分解たんぱく質
アレルギー検査でアレルゲンが特定されなかった場合は、一般的に加水分解たんぱく質を使用したドッグフードを試すと良いとされています。
加水分解たんぱく質とは、たんぱく質を酵素などを利用して分解処理したもので、たんぱく質の分子が小さくされることでアレルギー反応を引き起こしにくくすることが目的です。
例えば、牛肉にアレルギー反応を示す犬であっても、加水分解された牛肉に対してはアレルギー反応を示さないと考えられていますが、加水分解たんぱく質の効果に関しては様々な説があり、専門家によって大きく見解が異なります。
現状、加水分解たんぱく質の安全性についても不明確な点が多いのが問題点として挙げられますので、どうしてもアレルゲンが特定されず症状が緩和されない場合には獣医師に相談して一時的に加水分解たんぱく質を使用したドッグフードを試してみると良いでしょう。
低アレルゲンドッグフードの特徴や療法食について
ここでは、市場に出回っている低アレルゲンドッグフードの特徴や原料を紹介します。
犬によってアレルゲンは異なりますので、原材料をしっかりと確認してアレルゲン除去食を選びましょう。
なお、アレルゲン除去食(療法食)に関しては、大抵はアレルギー検査時に動物病院で獣医師が処方してくれます。
プロフェッショナルバランス「アレルゲンケア」
プロフェッショナルバランス「アレルゲンケア」の対象年齢
1才以上の成犬(同じシリーズに「11才以上の犬用」と「ダイエット犬用」あり)
プロフェッショナルバランス「アレルゲンケア」の特徴
多数のたんぱく質源を使用せず、魚(サーモンなど)と米にたんぱく質源を特定したドッグフード。
その他、皮膚の健康維持に有効とされるオメガ3脂肪酸を配合。
ミネラルやアミノ酸バランスに配慮されているため、尿路結石が発生しやすい犬の健康維持も期待できるドッグフード
プロフェッショナルバランス「アレルゲンケア」の原材料
コーンスターチ、加水分解チキン、植物性油脂、セルロース、動物性油脂、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
プロフェッショナルバランス「アレルゲンケア」の評価
特に有害となりうる化学合成添加物は含まれていないようだが、「~エキス」や「~パウダー」など、原料の不明確性が気になる。
原材料の品質の良さは期待できないものの、犬のアレルギーに配慮したドッグフードの中では価格が安いのがメリット。
VetSolution 犬用 「皮膚サポート」
VetSolution 犬用 「皮膚サポート」の特徴
加水分解サーモンを主要たんぱく源としたアレルギーが生じにくいドッグフード。
グレインフリーのため穀物アレルギーの犬に安心して与えることができ、消化器官に負担がかかりにくいのが特徴。
その他、キシロオリゴ糖が含まれているため、腸内フローラの改善を中心に胃腸ケアが期待でき免疫力強化にも有効であると考えられる。
アレルギーによって生じやすい皮膚疾患にも配慮されているのがポイント。
VetSolution 犬用 「皮膚サポート」の原材料
タピオカ、加水分解サーモン、動物性油脂、ミネラルソルト(リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム)、リグノセルロース、加水分解肉類(豚および家禽)、ビートパルプ、フラクトオリゴ糖、ビール酵母(β-グルカン)、DL-メチオニン、ベントナイト、脂肪酸(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)、ビタミン類(A、E、D3、B1、B2、B3、B5、B6、B9、B12)、塩化コリン、酸化防止剤(没食子酸プロピル、トコフェロール、ローズマリー抽出液&パルミチン酸アスコルビル)、ミネラル類(Zn、Fe、Cu、I)、L-カルニチン、乳酸菌(ラクトバチルス・アシドフィルス菌)、コンドロイチン硫酸
VetSolution 犬用 「皮膚サポートの」評価
総合栄養食基準を満たす療法食で、低炭水化物であるのが個人的に評価が高いが、炭水化物源としてタピオカを主に使用しているのが気になる。
アレルギーに関しては、加水分解タンパク質を使用しているだけでなく、免疫力強化が期待できる腸内環境の健康に配慮されている点で評価が高い。
ヒルズ 犬用 z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケアドライ
ヒルズ 犬用 z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケアドライの特徴
犬が消化しやすくアレルギー症状が引き起こされにくいとされる加水分解たんぱく質や単一炭水化物が使用されたドッグフード。
その他、オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸が配合されている。
療法食のため、獣医師に相談の上与える必要がある。
ヒルズ 犬用 z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケアドライの原材料
コーンスターチ、加水分解チキン、植物性油脂、セルロース、動物性油脂、ミネラル類(カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、クロライド、マグネシウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、乳酸、ビタミン類(B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、トリプトファン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
ヒルズ 犬用 z/d ultra 食物アレルギー&皮膚ケアドライの評価
特に有害となりうる化学合成添加物は含まれておらず、多くの獣医師や栄養学専門家が開発に関与している優れたドッグフード。
個人的にはたんぱく質量が少なく感じるが、動物病院でも処方されることがあるため、食物アレルギーに配慮したドッグフードの中では非常に安全性が高いと考えられる。
ロイヤルカナン「Vets Plan セレクトスキンケア」
ロイヤルカナン「Vets Plan セレクトスキンケア」の特徴
胃腸ケアや皮膚の健康維持に配慮された療法食で、七面鳥や米、加水分解動物性たんぱく質を原料としているためアレルギー原因になりにくいドッグフード。
療法食のため、獣医師に相談の上与える必要がある。
ロイヤルカナン「Vets Plan セレクトスキンケア」の原材料
米、七面鳥、加水分解動物性タンパク、動物性油脂、大豆油、ビートパルプ、ミネラル類(K、Cl、Zn、Mn、Fe、Cu、I、Se)、ビタミン類(A、コリン、D3、E、C、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、B6、B1、B2、ビオチン、葉酸、B12)、保存料(ソルビン酸カリウム)、酸化防止剤(BHA、没食子酸プロピル)
ロイヤルカナン「Vets Plan セレクトスキンケア」の評価
保存料・合成酸化防止剤が使われており、動物性たんぱく質ではなく米が主原料になっているのが個人的には気になる。
犬のアレルギーに配慮したドッグフードの中では価格が安いのがメリット。
INUMESHI 「フィースト ラム&ライス」
INUMESHI 「フィースト ラム&ライス」の対象年齢
1才以上の成犬~老犬(全犬種対象だが、同じシリーズで大型犬用もあり)
INUMESHI 「フィースト ラム&ライス」の特徴
一般的に犬のアレルゲンになりにくいと考えられているラム肉を豊富に使用しているのが特徴。
素材にこだわっており小麦不使用で作られている。
INUMESHI 「フィースト ラム&ライス」の原材料
ラム肉、米、大麦、オート麦、醸造用イースト、ポールトリーファット、ビートパルプ、ラムダイジェスト、ミネラル、ビタミン、ユッカシジゲラエキス
INUMESHI 「フィースト ラム&ライス」の評価
アレルギー療法食ではないが、ラム肉や素材の品質に配慮されているのがポイントが高い。
個人的には総合栄養食表記が見当たらないのが気になる。
食物アレルギーが疑われる場合は獣医師に相談しよう!
今回は、食物アレルギーがある犬の低アレルゲンドッグフードの選び方を中心にご紹介致しましたが、食物アレルギーが疑われる場合はまずは獣医師に相談して適切な検査を受けさせましょう。