飼い主にとって愛犬の食欲不振は本当に心配なもので、私も愛犬ががんによる食欲不振や抗がん剤副作用による食欲不振になったときは大変気を使いました。
食欲不振により愛犬の場合は抗がん剤を断念しましたが、老衰だけでなく、病気などが引き金となり成犬であっても食欲不振になることがあります。
今回は、全般的に犬に食欲がない時の対処法について幅広くご紹介致します。
食欲がない時に考えられる病気
人間であっても身体の不調によって食欲が低下しますが、犬の場合も同様に病気によって食欲不振になります。
「食欲がない」という症状を伴う病気は本当に数多くあるので、まずは獣医師に相談して適切な検査を。
食欲がない根本的原因を突き止めて、原因に応じた対処法を探ることが何より大切です。
参考までに「全く食欲がない」ような場合は、歯肉炎や歯周病などの口腔内の病気や鼻炎を中心とする鼻腔(または副鼻腔)に関連する病気、特発性の三叉神経炎や悪性腫瘍などが考えられます。
この場合も他に考えられる病気が数多くあるので、早めに動物病院で検査を行いましょう。
老犬に多い食欲不振の原因
老犬の場合、口腔内の病気が原因で痛みや炎症が生じて食欲不振になる犬もいます。
その他にも、筋力の衰えや関節炎が生じやすかったり足腰の病気を発症しやすいことから、食事が摂りにくいことが原因で食欲不振になるケースもあります。
老犬の食事に関しては別途ご紹介させていただきますが、食欲低下を引き起こさないよう犬の食事のしやすさにも配慮が必要です。
また、老犬は消化器官の機能にも問題が生じやすく、消化率の低下や代謝能力の低下による食欲低下も疑われます。
歯が悪くなることで唾液分泌量が減る、味覚を中心とした感覚器の機能低下などが原因で食欲不振になることもあります。
老犬だからと思ってしまいがちですが、老犬だからこそ病気の可能性について幅広く考えて、定期的な健康診断を受けさせましょう。
愛犬に食欲がない時の対処方法
ここでは、年齢問わず愛犬に食欲がない時の対処法をご紹介します。
ただし病気が考えられる場合は、何よりも早く獣医師に相談しましょう。
水分量の多い食事に切り替える
食欲がない時は、水分量の多いウェットフードを試してみると良いでしょう。
ドライフードをぬるま湯でふやかすことで香りを高め、犬の嗜好性を高めます。
栄養素が崩れやすいという観点からドライフードをふやかす場合は熱湯でふやかさないよう注意が必要です。
人の手の温度より少し温かい程度のぬるま湯で5分~10分程度ふやかして、冷ましてから犬に与えます。
反応しやすい食事に切り替える
犬にも味覚がありますが、人ほど複雑(敏感)ではないと考えられています。
しかしながら、犬の甘味に反応する味覚細胞はとても発達しており、細胞が存在する部位が多いのが特徴です。
そのため、肉や魚に多く含まれているアミノ酸、果糖、乳糖などに対して犬は敏感に反応します。
愛犬に食欲がない時は、動物性たんぱく質が豊富な肉や魚主体のフードに切り替えたり、果実をジューサーやミキサーで細かくして食事にトッピング。
ヤギミルクをトッピングしてみたりと、愛犬が反応しやすい食事に切り替えて様子を見ると良いでしょう。
流動食などドッグフードのタイプを変える
口腔内の健康状態が悪くて食欲がない場合(噛むことに支障がある場合)や、病気によって物理的に食べることができない犬の場合は、シリンジを利用して流動食を与える必要があります。
また、シリンジを使用しても物理的に飲み込むことができない場合、積極的食事摂取を目的とするのであれば獣医師に栄養チューブの装着を勧められるケースもあります。
老犬を中心に強制給餌に関しては飼い主さんの考え方によって大きく見解が異なります。
獣医師に相談することはもちろん、愛犬のことをしっかりと考えて飼い主さん自身が強制給餌の必要性について考えることが大切です。
適切な運動管理で食欲を高める
健康状態に問題がない犬の場合、単純に運動不足によって食欲不振に陥っているケースもあります。
犬によって必要運動量は個体差がありますが、一般的には小型犬であれば1回30分程度を1日1~2回、中型犬であれば1回30分~1時間程度を1日2回、大型犬であれば1回30分~2時間程度を1日2回目安です。
先述でも述べましたが、これはあくまで一般的な目安であり犬種や年齢、生活環境などによって適切な運動量は犬によって大きく異なります。
何より愛犬の様子を見ながら愛犬に合った運動量を見極めることが大切ですので、愛犬の運動量が適切であるかを今一度考え直してみましょう。
食事のしやすさを配慮する
老犬や足腰の病気、ヘルニアなどを発症している犬の場合、食事がしにくいことから食欲不振になるケースもあります。
このような犬の場合は、食事が寝床(犬の生活環境)から遠くないか、食事の姿勢が辛そうでないかなど配慮して、必要に応じて食事場所を変えたり、犬用の食器台(食事テーブル)で高さ調整するなどの配慮が必要です。
食器台(食事テーブル)を利用する場合は、犬が四肢で立ったときにほんの少しだけ首を下げた位置に食器がくる高さ(胸元の少し上あたり)が良いでしょう。
最近では数段階に高さを調整できるものや角度調整ができるものもあるので、愛犬の食べているときの様子を見ながら調節してあげることをおすすめします。
その他、老衰によって味覚や嗅覚などの感覚器が衰えている場合は、ウェットフードなど香り豊かな食事を心がけ犬の鼻先に食事を運んであげるなどの配慮が必要です。
状況に応じて高栄養缶を与える
老犬を中心に、体力がなくて長時間食事を食べることができない犬もいます。
シリンジを使用した強制給餌に関しても長時間行うと犬も疲れてしまうケースが多く、そのような場合は犬の状況に合わせて少量でエネルギーを補給できる高栄養缶を与えるなどの工夫も必要です。
極端に体力がない老犬の場合は、獣医師に食事に関して相談することをおすすめします。
精神的ストレスがないか見直す
ただ単に甘えによって食事の好き嫌いをする犬もいますし、精神的なストレスによって食欲不振になってしまう犬もいます。
犬のストレスに関しては特に注意が必要で、飼い主が気づかないような些細な環境の変化(飼い主の変化・同居犬の変化・住む場所の変化など)によってストレスを感じる犬もいます。
また、犬のストレス要因で多いのが飼い主との好ましくない関係性であるため、愛犬との十分なコミュニケーションが行えているか、愛犬に接するときの態度が適切であるかについても今一度見直すことが大切です。
必ず獣医師に相談する
病気が食欲不振の原因となっている場合、または既に病気発症中の犬の場合は、必ず食欲不振について獣医師に相談しましょう。
特に悪性腫瘍(がん)などを発症しているときは、抗がん剤の副作用によって食欲がなくなることが多いので注意が必要です。
その他、抗がん剤に関わらず末期のがんを中心に重度の病気を発症している犬のケースでは、痛みや不快感によって食欲不振が引き起こされていることも多く、その場合は食欲増進剤などの投与が効果的。
愛犬の状況に応じて、副作用など含め獣医師に相談してみることをおすすめします。
愛犬に食欲がない時は幅広い対処法を試そう
愛犬に食欲がなく病気の可能性がある場合は、何より獣医師に相談することが大切です。
健康体な犬の場合は、様々な可能性を考えて幅広い対処法を行なって食欲改善に努めましょう。